妊産婦さま向け歯科治療

女性ホルモンの影響

 女性には、男性とは異なった遺伝的背景やホルモンの違いがあるため、お口の症状にも女性特有の問題が現れることがあります。人生の中で女性が経験するいくつかの節目ごとに、身体的変化があり、その影響が歯ぐきや、口腔粘膜などに現れてきます。

思春期以降に分泌が始まる黄体化ホルモンと卵胞刺激ホルモンによって、プロゲステロンエストロゲンという女性ホルモンが分泌されます。女性ホルモンは生涯を通じて分泌されますが、年代により量が変化します。そのためピークとなる10代~30歳頃までに歯ぐきの炎症や知覚過敏が多く見られるようになります。

妊娠が歯ぐきの状態を変化させる

妊娠から出産は女性しか経験し得ない、まさに人生の節目の時期といえます。この時期は口腔内の変化、つまり歯ぐきが腫れたり、赤くなったり、出血したりという症状がとても出やすい時期であり、この変化を見過ごして放置してしまうと、生まれてくる赤ちゃんの健康状態にも影響を及ぼしてしまうのです。

妊娠期と歯周病

「子供を一人産むたびに何本か歯がなくなる」

この言葉をご存じでしょうか?一見こじつけのように見えますが、実は医学的な根拠があります。

妊娠すると、胎盤の発育にともない女性ホルモン(プロゲステロンとエストロゲン)が産出され、これらのホルモンは歯ぐきの中での濃度も上昇します。するとこれらのホルモンを摂取する菌の数が、増加します。妊娠12~13週になると、妊娠初期の5倍にもなります。このために、ごく少量のプラークや歯石にも反応してしまい、著しい歯肉炎の症状が出てしまいます。

この妊娠期における歯ぐきの変化を軽く考えてはいけません。これが、生まれてくる赤ちゃんに影響を及ぼすことがわかっています。

妊娠した女性が喫煙したり、多量の飲酒をしたり、感染症にかかっていると、早産や低体重児のリスクが高くなります。歯周病も感染症のひとつであり、歯周病を放置すれば早産や低体重児のリスクが高まると言うことです。

実際に、妊娠した女性が歯周病にかかっていると、早産児や低体重児を出産する確率が7.5倍も高くなるという報告があります。

ミュータンス菌(むし歯菌)は
母子感染します

虫歯の原因となるミュータンス菌は、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中にはいません。生活する間にやがて、周りの人の口の中にいたニュータンス菌がやってきます。

きっかけとなるのは例えば、ストロー・大人が使った箸やスプーン・キス・口移しで食べさせるなどです。

歯が生え始めたら、ミュータンス菌の感染に注意が必要です。

ミュータンス菌の母子感染を予防するには?

一緒に生活する上でミュータンス菌の感染を完全に防止することは難しいですが、まずは赤ちゃんのそばにいる周囲の人たちが、口腔内を清潔に保ち、むし歯の治療をしておくことで、ミュータンス菌を減らしておくことが大切です。

その中でも母親の口腔内の影響が特に強いとされています。特に効果的なのは、妊娠期から母親が口腔ケアを行う事で、お子様のむし歯予防をスタートさせることです。

専門ケアをおすすめします

女性のためのオーラルケアの基本は、プラークコントロール(バイオフィルムの除去)です。特に妊娠期、出産後は歯ぐきが腫れやすい状態ですから、ホームケアだけでは限界があります。そのため当院では、検査後の専門的な口腔ケア、ホームケアの指導を行います。患者さまが受診しやすいように、当院では女性歯科医師が妊産婦外来を担当しておりますので、安心して受診していただけます。

→予防歯科について詳しくはこちら

 

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